「おいっパンだけ食うな!
焼きそばとのハーモニーを感じながら食え!!」



隣で松〇修造ばりに熱く焼きそばパンの食べ方について指導してくる天王子。



「うるっさいなぁ暑苦しい」


「だからこうやってガッと食うんだよ!」



私を背後から羽交い絞めにした天王子が、私の手をつかみ焼きそばパンを無理矢理食べさせようとしてくる。



「ちょっ…やめてよ!自分で食べるから!」


「お前の食べ方だと可哀そうなんだよ!焼きそばパンが!」


「だから意味わかんない…!」








「なーかよしだねぇ、相変わらず」




焼きそばパンのスパルタ教育の現場には不似合いなのんびりした声。




チュー、といちごミルクをストローで吸い上げながら、水川が生温かい目で私たちを見ていた。




「はぁ?どこが仲良いんだよバッカじゃねぇの」




チッと舌打ちをしながら私から離れる天王子。



少し離れたところにドカッと胡坐をかいて座り直した。





「はは、無自覚なの玲?だとしたらすげぇバカなんだけど。ウケる~」



「お前…ケンカ売ってんのか?」




なぜか不穏な空気が流れ始める屋上。



だけど水川は全然気にしていないようだ。




「そんなにベタベタしてるけどさぁ、女アレルギーはもう克服したわけ?」




チュー、と相変わらずいちごミルクを吸い上げながら、のんびりした口調で天王子に聞いた。