「あんたって…二重人格?」
「は?何だそれ。外面が天才的に良いだけだろ」
歩道を並んで歩きながら、天王子が怠そうな口調で言う。
外面が異様に良いことは認めているようだ。
「外面も大事だけどねぇ。
もっと性格良くしないと、彼女できないよ?」
私だってそりゃあイケメンは好きだけど、彼氏にするなら絶対優しくて思いやりがあって、性格良い人と付き合いたいもん。
「…はぁ?」
天王子が理解不能、とでも言いたげに顔を歪めた。
「何言ってんのお前。俺彼女作る気ねーし。女アレルギーじゃなくてもな」
「え、そうなの?」
あんなにモテるのに!?
そういえば天王子は、何百人の女子から告られても全員フッていると聞いたことがある。
女アレルギーのせいだけじゃなくて、天王子がもともと恋愛する気がない、ってこと?
「何で?まだ若いのにもったいない」
言ってから、なんか私おばぁちゃんみたいだな、と思った。
「…別に…くだんないから」
「くだんないって、そんなのしてみないと分かんないじゃん?」
「うるさ。女とか興味ない。世界一どうでもいいから」