愛されプリンス½





フ、と何か楽しいことでも思い出したみたいに口角をあげるリュウさん。



「俺さ、この仕事始めてもう10年だけど。色んなモデルの顔引き出すのが仕事だけど、俺じゃ玲のあんな顔引き出せなかったよ」



「…はぁ」




天王子の…あんな顔?




って、どんな顔?





首を傾げる私に、プッとリュウさんが吹き出した。




「え、え?何が面白いんですか??」


「いや、違う。ごめんごめん」




ハハハッと楽しそうに声をあげて笑うと、リュウさんはふっと目を細めて



「まぁきっと、彼女じゃなくても玲にとって一花ちゃんは特別な存在なんだろうね」



そう言うと、じゃ、お疲れ~とスタジオの奥へ颯爽と消えていった。






特別な…存在?私が、天王子の?





「よぉ」




リュウさんと入れ違いで、制服姿に着替えた天王子が戻ってきた。



ちなみに私はというととっくに可愛いフリフリワンピースを脱ぎ捨て、ダサい全身緑色のジャージに着替えている。(朝倉学園は制服はまぁまぁ可愛いがジャージは致命的にダサいのだ)