「おせぇ、早く来いって」
チッと小さく舌打ちした天王子が私の腕をつかんで引っ張る。
突如として目の前に出現したヨーロッパ風のファンシーなベッド。
な、なにゆえスタジオにこんなものが…!
「…こ、ここで何するの!?」
「はぁ?決まってんだろ、撮影」
「さ、撮影ってなんの…!」
「…お前なに想像してんの?」
グイッ
意地悪く笑った天王子が私の二の腕あたりを強く掴んで引き寄せた。
グルリと視界が反転する。
気付いたら天王子が私を見下ろしていて。天王子の背後にはスタジオの天井。背中には柔らかい感触。
…私、天王子に押し倒されてる!?
「AV撮影するわけじゃねーから安心しろよ」
ツ、と天王子が怪しげな手つきで私の頬をなぞった。
ぞわ、と慣れない感触に肌が泡立つ。
安心…できるかっ!!!
「ど、どど、どいてっ…」
「やだね」
天王子が私の顔のすぐ横に肘をついて、グ、と距離を縮めた。
「いいね~」なんていいながらシャッターを切るリュウさんの声が聞こえる。
何がいいんだ!!



