「よし、じゃぁ次はキスね」
カメラのシャッターを切る音がようやく止んだと思ったら、今度はリュウさんのそんな声。
は…
きっ…き、キキキキス!?
背中にまわっていた天王子の右手が、今度は後頭部にまわされる。
左手は私の肩へ。
ゆっくり顔が近づいて―――
「…手じゃま」
天王子が不機嫌そうに、口元を両手でガードした私を見て目を細めた。
「むっ…無理だから!こんな公衆の面前で、カメラの前でキスとか絶っっ対に無理だから!」
「は。バーカ」
天王子がゆっくりと私の両手を引き剥がす。
ゆっくりだけど強い力。
そして逃げる術をなくした私の顔に徐々に近づいて
ギュッと目を閉じた。
だけど唇に触れる感触はいつまでもなくて。
パシャッ…パシャッ…とシャッターを切る音がする。
おそるおそる目を開けると、不敵に微笑んだ天王子の顔がすぐ目の前にあった。
「ホントにするわけねーだろ。バカじゃねぇの」
バカにしたような、見下したような。
キスするフリでいいなら初めからそう言ってよね!?
でも、その距離はまるでキスする直前みたいに、近い。



