(『代々木』?、オリンピックやった所?あっ次、新宿って書いてある!)
俺は降りて人に押されながら進むが一向に出口が見つからない。
(何だよ、ずっと地下じゃないの)
やっと地上に出た俺の前に超高層ビルがそびえ立っていた、西口を出た訳だ。
(凄え、今俺東京にいるんだ‥)
どっちへ行っていいやらまるで分からず、とにかく歩き出したが少しずつ街並が静かになってきた。
(ありゃ?外れの方に来たのかな?)
一軒の理髪店が目に入り、ここでボサボサ過ぎる髪を
(東京らしく整えておこう)
と思い入ってみた。
(ついでに道を訊いてみよう)
「お、お客さん、この髪前回もウチでカットされたんですか?」
「いえ、自分で切ってました」
ホッとした様子が鏡越しに見えた。
(俺って凄く恥ずかしいのかな?)
「この辺でライヴハウスってないですか?」
「ライヴハウス?さあ、向かいにあるのがそうなんじゃないの?有名な人が来るとよく人だかりが出来てるみたいだから」
俺はカットした後、生まれて初めて床屋でコーヒーを出して貰いそれを啜りながらそう教えて貰った。

 店を出てガードレールを跨ぎ、通りを渡ってその建物を見上げてみた。そこにはブルーのネオン管でくっきりこう記されていた。

 LOFT SHINJUKU

(運命なんだ‥)と、思った。