「なぁ。」



「ん?」



「これから嘘つくから。」



「え、あ、うん。」



「俺さ、好きな人いないんだけど。」



「…え、いる…の?」



こくんっ。



「だれ…?」



「遠いとこにいるよ。」



「遠いとこ?

…高校離れたなみちゃん?」



ぶんぶんぶんっ

勢いよく横に振る。



「え、じゃあ私の知らない人?」



「お前が一番知らない奴。」



「じゃあわかんないじゃん。」



「うん。あ、そうだ。」



「何よ。」



「お前は好きじゃない。」



「…あっそ!」




暫くして午後になった。



「ねぇ、俺の嘘どうだった?」



「知らない。」



「ったく、お前バカだな。」



「何よ、何が馬鹿なのよ。」



「俺これから嘘つくって言ったじゃん。」



「だからなんだって言うのよ。」



「俺が午前中に言った事全部嘘。」



「え…全部?」



「そ。」



「え、じゃあ、

お前は好きじゃないってのも…?」




「嘘。」