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俺と涼香は幼馴染。
親同士仲がいいこともあって、物心がつく前から高校二年生になった今までずっと同じ時間を過ごしてきた。同じ学校の制服を身にまとい、同じ道を通って、帰って。長年のことすぎて、一緒にいることが当たり前のように思える。

小学生高学年くらいだっただろうか。
涼香が俺以外の男子と仲良く楽しそうに笑っている姿を見ると胸のあたりが変な感じがした。モヤモヤするし、イライラすることもあった。この気持ちが何なのかわからないまま、俺は中学生になった。

「七瀬!昨日田中に告って、付き合うことになったんだ!」
「実は彼女ができてさ」
「俺たち付き合うことになりました〜」

周りの友達が続々と彼氏彼女の関係を築きはじめ、毎日楽しそうに話しをする。
恋人同士並んで、手をつないで帰ったりするんだとか。
なるほど、それが恋人ってやつなのか。

うーん、手はつながないけど、俺の部活がない日はいつも登下校一緒だしなぁ。

周りは俺らをどう見ているのだろうか。
兄妹?友達?・・・恋人?

ふとそう意識した時からだった。
どうでもいいような、些細な考え事で自分の気持ちに気づいてしまった。

そうか、前から感じていたあのモヤモヤする気持ちは涼香のことが好きだからか。
それなら納得、と幼いながらに初恋を認めた。

冷静を保ちたいところだが、意外にも動揺しているようで、その日の帰り道は数回電柱に激突してたんこぶができていた。

あぁ、そうか、そうだったのか。

家族のような存在であろう幼馴染の涼香に、

いつしか俺は

・・・恋をしていた。