だいすきなあなた


「そういえば、今日はお仕事お休みなんですか?」

こんな時間に家にいることなんで滅多にないし。

「1時間後には家をあける」

仕事だったみたい。

「あと…」

龍太さんは口を開きかけて、また閉じた。

私はそれを見逃さなかった。


「…恵さんですか?」

龍太さんはピクッと眉をあげる。

「あぁ」

その返事を聞くと、明日は丸一日ここには来ないということが分かる。

「悪いな」

時計を気にして、準備をし始める龍太さんは私の側から離れていく。