「どうして…いつも辛い思いするのは夏帆なんだろう」
マスカラが落ちるのも気にせず、私の手を握り涙する。
「夏帆は十分過ぎるぐらい苦しんでるのに…神様は不公平だよ!なんで夏帆ばっかり苦しまなきゃいけないのよ!!」
子供のようしゃくりあげながら泣く花ちゃんを支える大吾は、
「確かにな。夏帆ばっかり…」
目には薄っすら涙が浮かんでいた。
「だからって勝手に居なくなるなよ…」
「ごめん」
安浦は伏せ目がちに言葉を発する。
「…俺たち学生には経済力なんてねぇし、一人じゃ世の中なんて生きていけねぇ。早く大人になりてぇな」
大吾の言葉がこれほどまでに私たちに刺さったことがあっただろうか。
いやきっとない。
今の私はこれほどまでに未成年で子供な自分を憎いと思ったことはない。


