更には____

(………………そういえば僕、愛羅さんのこと好きだったなぁ。レベルが違うって言うか、そんな感じで諦めてたけど)

 和寛の、初恋の人。想い人。

「____ねぇ、ねぇってば」

「え!?あ、うん、何??」

「だから、ずっと思ってたんだけど、さん付けしないでもらえるかな、って」

 聞いて、和寛は一瞬ポカンとした。

 位が違うから、とずっとさん付けで呼んでいたのを、同じところに上がっておいで、とでも言われたような気がして。

「…………わ、分かった。でもその代わりに………」

「……その、代わりに?」

「…………僕のこと、井崎くんじゃなくて、和寛って、呼んでくれないかな?」

 今度は愛羅がポカンとする番だった。
 そして数秒の逡巡の後、

「………うん、分かった」

 ほわりと柔らかい笑顔になった。それは大体のこと愛羅が仲の良い子にしか見せないもので、あ、心を許されたんだと、和寛は感じた。

 そして同時に、

(………………惚れ直しちゃうじゃん、バカ愛羅!!)

 一時限目開始のチャイムが鳴り響き、和寛は席へと戻っていった。