休み時間、教室の外から様子を窺う。

 愛羅は普通に読書をし、和寛は窓際の席だということをいいことにそっぽを向いている。
 拓真は嫌らしい感情を奥に隠した目で愛羅を見つめていた。

(………………うっわ、膠着状態)

 様子を見て梨々香はちづるを呼び寄せて、愛羅の側に居てやってほしい、和寛を呼んでほしいと伝えた。
 ちづるは教室の奥へと入っていき、呼んでたよと伝えたのだろう、顔をこちらへと向けた和寛が近づいてくる。

「…………………何、どうしたの梨々香」

「何はこっち。どうしたの、あれ」

 目線で愛羅を指す。

 和寛は梨々香の視線の先を追い、何処を指しているのかを理解してばっと向き直った。
 少し青ざめた顔を見て梨々香は和寛の手首を掴んで引っ張っていく。

「えっ、ちょっ、りっりりっ、」

「止めてなんて言うんじゃないわよ」

 引き摺られるように移動して、前に愛羅の家の事情を聞いた、渡り廊下までやって来る。
 和寛を壁側に立たせると、梨々香はでんと前に立って両手を腰に当てた。