「……………久しぶり、咲乃さん」

 そう言って和寛がにこっと笑えば、フリーズしていた咲乃がやっと溶けた。
 和寛の笑顔に、知っている、中学生の頃の面影を感じることができたのだろう。

「…………………和寛…………久しぶり……随分変わってるって、聞いてたけど………想像の上をいく変わりようだね」

「えぇえ?そうかなぁ………?」

「口調は変わってない~。外見が、変わりすぎ」

 それにしても、でっかくなったねぇ。

 愛羅もふわふわした口調だが、咲乃はそれと同じくらいのふんわり度に、声が少しハスキーがかっていて、愛羅よりも低い。

「はぁ…………。それ、愛羅にも、梨々香にも、言われた」

「でしょう。変わりすぎだもん」

 そう言って咲乃は楽しそうにころころと笑う。

 愛羅と梨々香は顔を見合わせてふふふと笑った。
 和寛は笑い事ではないと言わんばかりに苦虫を噛み潰したような顔をしている。

「……………___そうだ、和寛に後で一つお願いがあるんだけど」

 急に声を少し真面目にした咲乃の言葉に、和寛はキョトンとし、そしてそれからごくりと唾を飲み込んだ。
 ここにいる女子三人の中で一番低い声に、場の空気が一瞬、重たくなったように感じた。