一時の十分前に、私たちの中学の最寄り駅に来れる?それから駅の近くのショッピングモールに行くから。

 愛羅からの連絡は、そういうことだった。

 そのまま上部の時計を見てみれば、十一時の十分前ぐらい。
 ここの駅から中学の最寄り駅まで五十分、待ち合わせの法則で十分から十五分くらい前にはあっちに着いていなくてはならない。
 財布はもう持ってるし、今から家に戻って昼ごはんを食べるのも気が進まない。

 自分の格好を見回して、数秒固まってから、諦めたように溜め息を吐く。
 もう何を言われようと何でもいい。
 よく知っている子達なのだ。

 歩き出し、朝集まった最寄り駅の前まで辿り着いて、踏みきりを渡って反対側の通りに出る。
 その通りを歩いていって、目についたファミレスに男子高校生一人で入っていく。

 非常に混んでいる時間帯、オムライスを食べた。
 美味しかった。

 食べ終えて、ファミレスを出て携帯を見ると、十二時の十分前だった。
 それから駅に戻り、中学の最寄り駅方向の電車に乗って、和寛は待ち合わせ場所に向かった。

 駅に着くと、急に懐かしさが込み上げてきた。

 思えば、前の家はここの近くだったはずだ。
 駅の周りを一通り見回しながら、懐かしい、懐かしいと溢していく。