満面の笑みで言い切って、フレッシュを入れたコーヒーを飲み干す。
 ダンッと音を立てて置くと、ちらりと二人を睨め付け、一人ずつ精算するためにと言って一枚ずつ別けてもらっていた伝票の一枚を手に取ると、鞄に手をかけた。

「…………__じゃ、そういうわけで、よろしく」

 茫然とする拓真と夏哉をそのままに、和寛は自分の分を精算して、デパートを出た。

 寒くなってきている外の空気は、思いきって勝負を仕掛けてきた和寛を些かセンチメンタルにしてしまうものではあった。
 ふとポケットに入っている携帯に手を触れると、それを取りだし、前に交換した愛羅、梨々香のアドレス、番号を開いて暫し考え込む。

「…………………愛羅、暇って言ってたっけかな」

 そして思いきったようにタップし、携帯を耳に当てた。

「……………___もしもし、愛羅…………………?」