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「お~い!!こっちこっち!」
「和寛ー!!」
約束した通りの、土曜日の駅前。
向こうで手を振る夏哉とその友達かつクラスメイトの土赤拓真の姿を認めて、和寛は軽く駆け出した。
大勢だったらどうしよう、とか考えていたが、自分も含めて三人だったことに少し安心した。
「……………おはよう、夏哉、拓真」
二人に対抗する気分で、和寛はいつもよりお洒落に気を使ってきた。
タンスを掻き回して引っ張り出したベージュのサルエルパンツに、緑地に深緑のチェックのシャツ。
白いパーカーを重ねて、首元にはロングのチェーンネックレスを巻いてきた。
それに、青緑色のショルダーバッグをかけた。
これは同じ中学出身の愛羅や梨々香がいないからこそできたことだ。
もしその二人の前でこんな格好したところで『うわぁ、和寛がそんな格好するなんて、違和感ありすぎる』と口を揃えて言うであろうことは目に見えている。
………うわ、想像してみたはいいが、脳内の梨々香の視線が五月蝿い。
「おはよ」
「おはよー、和寛」
「で、今日って、何処行くの?」
和寛が精一杯の笑顔で問いかけると、夏哉と拓真はお互いに顔を見合わせ、それから和寛に目を向けると、「………ゆっくり話のできるところであれば、和寛にまかせる」と拓真が答えた。