「………和寛、ちょっといい?」

 愛羅の意味深な問いかけのあった日から、二週間後の金曜日の二時限後の休み時間。
 珍しく愛羅ではなく和寛に話しかけてきた夏哉は、まるで内緒の打ち明け話でもするかのように机に手をついて、和寛を見上げていた。

「……明日さ、暇?」

「………………部活は平日だし、多分暇だと思うけど」

「じゃあさ、俺たちとどっか行かね?ちょっと…………………愛羅ちゃんのことで話がある」

 “愛羅ちゃんのことで”。

 愛羅ほど鈍いわけではないので、夏哉やその辺りの男子たちの愛羅に対する想いを知っていたので少し嫌な予感がした和寛だが、すべて覚悟してこくんと頷く。

「じゃあ…………………明日の午前十時、燦ヶ丘の最寄り駅前で」