「カエミル様!もし、本当にあなたが、私と共に生きていこうとお考えならば、私は、この理不尽な時代の流れに流されることなく、きっとあなたについていきます!」

「嗚呼愛しきジェニミールよ!僕はきっと君を愛し続けるだろう、………えっと………、ついてきてくれるかい?」

「…ちょっと。『ついてきてくれるかい?』じゃなくて、『君も僕を愛し続けてくれるかい?』よ。まぁ、少し考えただけ進歩したけど」

 放課後の講堂。

 自主練をする、と集まった愛羅、梨々香、和寛の三人は、舞台の上、場面ごとに台詞と動きの練習を行っていた。
 間違えて指摘されるのはもっぱら和寛で、愛羅も梨々香も間違えない。

 それにいつも話しているような感じではなく、役として言葉を交わすため、和寛は違和感によるむず痒さが張り付いて離れなかった。

「…………やる気あるの」

「やる気はあるよ!!やりたいと思うし、楽しいし、嬉しいよぉっ?」

「やる気“だけ”は、でしょ。まぁ、さすがの和寛でも春までには覚えられるとは思うけど。まだ十月下旬だし」

 呆れたように両手を広げる梨々香は、それでいて結構楽しそうでもあった。
 愛羅は後ろで手を組み、梨々香と和寛のやり取りをにこにこ、プラスにこと笑っていた。

 と、キィッと講堂のドアが開き、