一階まで降りて、外の渡りへ出るドアを開けた。

 愛羅の所属する演劇部は、この学校の敷地の端をなぞるように造られた渡りをずっと行ったところにある、講堂を使っている。
 九月も末とはいえ残暑は厳しく、渡りの上に設置された日除けの屋根も、あまりその意味を成していない。

「あーいらー!!」

「あー!りーりーかー!!待ってー!!」

 渡りを歩き始めた愛羅の先で大きく手を振る親友、山本梨々香の姿を認めて愛羅は、大声で叫びながら駆け出した。

 走ってくる愛羅を笑顔で見つめながら梨々香は両手を広げている。屋根が付いているとはいえ屋外である渡りで、二人はぎゅうっと抱き合った。
 身長は愛羅の方が五センチ以上大きく、梨々香は愛羅の身長に合わせて背伸びをしている。

「梨々香ぁ~」

「なぁに、愛羅」

「はあぁあ~、今日も疲れちゃったよぉ」

 そう言って愛羅は梨々香に頬を擦り寄せる。

 この二人はそれぞれ一人だけの時からは想像もつかないようなほど仲が良く、部活のみんなにレズかと勘違いされたこともあったりする。
 姉妹かと思われたこともあるが、それは世話焼きな性格の梨々香が姉で、話し方がふわふわとしていて梨々香に甘えたりする愛羅が妹である。

「ほらほら、部活遅れちゃうから、行くわよ、愛羅」

「うん~って講堂すぐそこだけどね」

 梨々香は優しく愛羅を引き剥がし、手首を掴んで講堂へと歩き出す。
 愛羅は先に歩き出した梨々香を追って早歩きをし、隣に並んで講堂へと足を進める。

 _____キィッ、