「…………愛羅、」
「……ごめん、なんか思い出しちゃって」
何が、と溢してから和寛は尋ねてはいけないものを尋ねてしまったような罪悪感に襲われて、はっと口を閉じる。
愛羅はというとスカートの裾をギュッと握っていた。
「…いい機会だから話しちゃうけど……中三の頃に。自分で言うのもなんだけど、私結構成績良かったから………………。何人かの男子に告白されて、でもっ、誰とも付き合えるような自信もないし、好きでもなかったから全員断ったけど、その事で調子に乗ってるとかっ、自意識過剰とかっ、あることないこと言われて、他の女の子たちにやっかまれて、色々言われてっ…………たまに校舎裏で三十対一みたいな感じで問い詰められたりっ、叩かれたり蹴られたり、してっ……………!」
「…………そ、そんなっ」
ポタポタと落ちる雫も気に止めず、ぽつりぽつりと嗚咽を溢しながら愛羅は語る。
和寛は床を見つめて、でもその視線は定まらず、ゆらゆらと漂っていた。
「それでっ、そんな子達が行けないような高校に入るって決めてっ、それでここを選んで………………梨々香もっ、咲乃もっ、私についてきてくれるって言って、勉強頑張ってくれたけど…………梨々香は受かった。でもっ、咲乃は落ちちゃった。私が巻き込んじゃったせいでっ、ホントは行きたかった高校行けなくって……………!」
「この前口を濁してたのは、そういうことだったんだ……」
ここ、燦ヶ丘高校………公立高校に落ちたということは今、咲乃は私立に通っているということだ。
「…………咲乃の家、あんまり裕福じゃないから…………咲乃、授業料のために、今はバイト漬けの毎日みたい………。私のせいで………私なんかのせいで……………!」
愛羅は再度嗚咽を溢し、個表を抱え込んで泣き始めた。
愛羅が泣いていることに気づくクラスメートが増え、何泣かしてるんだと言う視線が和寛の背中に突き刺さる。
そんな嫌な視線を感じながら、和寛は愛羅の背中を擦った。
「…………大変だったんだね、僕が知らないところで」
「……………ちょっと……………、一人に、してくれないっ…………?」
愛羅の言葉に、和寛は一瞬悲しげな表情をした後、意思を固めたように口元を引き締め、ゆっくりと立ち上がると、時計を一瞥してから廊下に出た。
「……ごめん、なんか思い出しちゃって」
何が、と溢してから和寛は尋ねてはいけないものを尋ねてしまったような罪悪感に襲われて、はっと口を閉じる。
愛羅はというとスカートの裾をギュッと握っていた。
「…いい機会だから話しちゃうけど……中三の頃に。自分で言うのもなんだけど、私結構成績良かったから………………。何人かの男子に告白されて、でもっ、誰とも付き合えるような自信もないし、好きでもなかったから全員断ったけど、その事で調子に乗ってるとかっ、自意識過剰とかっ、あることないこと言われて、他の女の子たちにやっかまれて、色々言われてっ…………たまに校舎裏で三十対一みたいな感じで問い詰められたりっ、叩かれたり蹴られたり、してっ……………!」
「…………そ、そんなっ」
ポタポタと落ちる雫も気に止めず、ぽつりぽつりと嗚咽を溢しながら愛羅は語る。
和寛は床を見つめて、でもその視線は定まらず、ゆらゆらと漂っていた。
「それでっ、そんな子達が行けないような高校に入るって決めてっ、それでここを選んで………………梨々香もっ、咲乃もっ、私についてきてくれるって言って、勉強頑張ってくれたけど…………梨々香は受かった。でもっ、咲乃は落ちちゃった。私が巻き込んじゃったせいでっ、ホントは行きたかった高校行けなくって……………!」
「この前口を濁してたのは、そういうことだったんだ……」
ここ、燦ヶ丘高校………公立高校に落ちたということは今、咲乃は私立に通っているということだ。
「…………咲乃の家、あんまり裕福じゃないから…………咲乃、授業料のために、今はバイト漬けの毎日みたい………。私のせいで………私なんかのせいで……………!」
愛羅は再度嗚咽を溢し、個表を抱え込んで泣き始めた。
愛羅が泣いていることに気づくクラスメートが増え、何泣かしてるんだと言う視線が和寛の背中に突き刺さる。
そんな嫌な視線を感じながら、和寛は愛羅の背中を擦った。
「…………大変だったんだね、僕が知らないところで」
「……………ちょっと……………、一人に、してくれないっ…………?」
愛羅の言葉に、和寛は一瞬悲しげな表情をした後、意思を固めたように口元を引き締め、ゆっくりと立ち上がると、時計を一瞥してから廊下に出た。
