ざわつく教室内。

 愛羅は手元の白い厚紙に突き刺すような冷たい目線を落としていた。

「……………………はぁ……」

 テストが終わり、LTの終わりに順位の書かれた個表が返された直後の休み時間。

 愛羅は小さく溜め息を吐き、そこに書かれた数字を指でなぞった。
 その個表の、順位の書かれる欄に入ってる数字は一本線_____そう、『1』。

「……………………愛羅?」

 和寛が恐る恐る、といった様子で愛羅に問いかける。愛羅はしばらく沈黙した後、そっと静かに口を開いた。

「………………………………何?」

「…………どうか、した?」

 いや別に、と愛羅は低く、ゆっくりと返す。

 そんな愛羅の様子を見て、和寛は周りを見回してから、そっと立ち上がって愛羅の前にしゃがみこんだ。

「…………何、結果悪かったの………?」

「……………………逆」

「………へ?」

 愛羅の言葉に和寛はキョトンとする。

 愛羅は和寛に自らの言葉の理解を求めるべく、席が一番後ろなのを良いことに個表を横にずらして和寛に見せた。