正義が悪に負ける時



小西はその後も、
まるで見ていたかのように、

狂い無く僕の犯行、そしてそれに至った動機を説明してくるが、

いつまで経っても核心を突いてこない。


それが気持ち良く、
ついに僕の方から切り出す。


「小西さん。

失礼ですが“証拠”はあるんですか?

僕が毒物を生成したという証拠。

女将さんにそれを渡し、
犯行を依頼したという証拠。

いやそれ以前に、僕がフユミの不倫を知っていたという証拠。」



「・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・。」


「・・・・・・無い・・・・。」


「それはそうでしょう。

だって僕はそんな事やっていないんだから。

フユミの不倫を知ったのも、この事件が起きてあなた方に概要を聞いた時なんですから。」



「・・・・・梶山さん。

証拠は無いけど、
女将さんの自供はある。

あなたも正直に降参して頂けませんか?」


「自白の強要には応じませんし、女将さんの証言内容についても完全に否認します。

小西さん。

あなたはフユミの身元確認の時やその後も、

優しく気にかけてくださったのでこうして平静を保っていますが、

これ以上続けられるとさすがに腹が立ちますよ。

名誉毀損で訴えてもいいんですか?」