正義が悪に負ける時



「恐らく、あなたは仕事の出張をうまく利用した。

各地の宿泊先ホテルで地道に毒物を生成し続け、

一切の証拠を残さず犯行日を迎えた。

今さら過去に宿泊したホテル・部屋を調べても、

毎日清掃され、代わる代わる多くの客が使用を続けるホテルの部屋には、

あなたに繋がる痕跡は塵一つ見つからないでしょうね。」


「ちょっと・・・。
変な事言うのはやめてくださいよ。」



“その通りだ”と答えたいのを我慢して、急に疑われ戸惑いを押し出した表情を続ける。


小西・・・。

ついでに言っておくが、
出張先で準備を進めたもう1つの理由。


万に一つ僕に疑いが掛かり、この家にガサが入っても何も見つけられないようにする為だ。


だって僕はこの家では何もしていないのだから。


南は九州、北は北海道まで。

もし警察に超能力者がいて、
僕の犯行を予測できたのなら、

出張先で職質して僕を逮捕できたかもしれない。


だがそれは、負け犬の遠吠えに過ぎない。