正義が悪に負ける時



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「では本日の捜査会議を始める。」

「起立!!!」


ムコウジマ警察署 大会議室。


ビジネスホテル殺人事件の捜査本部となったこの場所に集まる捜査員達。


刑事課 川辺課長ほか、上座に座る方々へ一礼した後、着席して会議が始まる。




「ちょっと・・またトイレ?」


隣に座る早苗さんが、
小声で俺に耳打ちしてきた。


「はい。
今日も元気にピーピーだそうです。」


「うわぁ~・・川辺課長こっち見てるよ。」


「まぁ課長も付き合い長いからきっと分かってますよ。」



課長達が座る上座の後ろ。

ホワイトボードには既に今回の事件関係者の写真が貼られていた。




「滝川ゲンジ 54歳。

住所不定。

職業は工事現場、
スーパの駐車場警備員など、

日雇いの仕事を続けながら、その日暮らしの生活を送っていたようです。

真冬以外は公園でホームレスのような暮らし、冬の間はネットカフェを利用していたようです。」


被害者の1人、滝川の素性を洗っていた捜査員が報告をする。


年齢よりも更に老いて見えるその見た目。


それを必然と思わせるような、苦労が垣間見える生活を滝川ゲンジは送っていたようだ。