正義が悪に負ける時



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フユミの実家を訪れるのは2回目だった。


日本料理店“一心”が浮上した際、フユミとこの店の関係を調べる為に一度訪れていた。


だけど今回の目的は梶山夫婦について。
いや、特に旦那について。


チャイムを押して出てきた母親は、

まだ娘を失ったショックから憔悴しきっているのがこちらにも伝わる。


真田さんと2人、
家の中へ入れて貰った。


「初めまして。

小西と同じ、ムコウジマ警察署の真田と申します。」


初対面の真田さんがまず挨拶をした後、
いつものように主導権が俺に移る。



「早速ですけど、滝川ゲンジの存在はもう他の捜査員から聞いていますね?」


「・・・・・・はい・・・。」


いきなりぶっ込むのは少し気が引けたが、
フユミの不倫相手を話題に出す。


「お母様はこの男の事ご存知でしたか?
フユミさんから何か話を聞いていたとか?」


「ありません・・・。

その・・・アキラさんとは別の男性と一緒にホテルにいたという事も・・

未だに信じられなくて・・。」


母親の表情により一層暗さが増す。