「長さん。死亡推定時刻は?」
「解剖してみんことにははっきりせんが、
硬直の具合から見て、昨夜の22時~23時頃って所だわな。」
解剖結果にもよるけど・・・・また厄介なヤマになりそうだ。
仮に毒を摂取したことによる中毒死だったとすると、“どこで”摂取したか。
その特定をして初めて本格的な捜査に取りかかれるけど・・果たして・・。
「長さんおはよう。
小西お待たせ。」
部屋の入り口から、手袋をはめながら先輩の早苗さんがやって来た。
ホテルには一緒に来たけど、早苗さんは先にフロントや第一発見者である清掃係の従業員へ聞き込みをしていた。
「チェックインしていたのはこっちの男の方だった。
名前は滝川ゲンジ 54歳。
よくここのホテルを利用してたみたいで、昨日は昼に来たそうよ。」
滝川・・・か・・。
テーブルに並べられた遺留品の数々。
その中から一枚の免許証を早苗さんに見せる。
「もう1人の女性は梶山フユミ。
年齢は・・29歳のようです。」
「・・?」
早苗さんの眉間に少しシワが寄った。
「名字が違う・・・。
夫婦じゃないってことか・・。」
「まずはこの2人の関係を洗わないとですね。」
口から血を流しているものの、どこか穏やかに眠るように横たわる梶山フユミ。
早苗さんがその左手を少し上げた。
「・・・旦那さん・・・・いるのかな。」
「恐らくそうでしょうね。
連絡は俺からします。」
薬指につけられた指輪。
複雑な人間模様が待ち受ける予感を感じさせるのには十分だった。



