「・・・・・・・どうして・・・・・・・・どうして・・・・・・フユミ!!!!!

・・アア・・なんで・・・アアァアアァア・・・・。」



“見慣れた”なんて言葉で片付けることは決して出来ない。


安置所の隅に立ち、梶山フユミにすがりつくアキラの様子を見守る。


その肩は震え、後ろ姿だけで哀しみと戸惑いが入り交じった涙を流している事が分かった。


「お察しします・・・。」


「アアァアア・・・!」


最愛の妻を突然失い、地べたに這いつくばるアキラの背中をさする。


「梶山さん、現在捜査を続けていますが、奥様は毒物を窃取したことにより死に至りました。」


「毒・・・・?・・・誰かに・・殺されたという事ですか・・?」


「はい・・。

それで奥様について聞きたいことが何点かあるんですが、

後日ご自宅までお話伺いに行ってもよろしいですか?」


「・・はい・・・・・。」


「あとで私の名刺を渡します。

いきなりの状況で混乱されているかと思いますが、どうか今は奥様の事だけを考えてあげてください。」


「・・・ありがとう・・ございます・・。
・・・アァァア・・フユミ・・・。」



いきなり突きつけられた別れ。


最後は足腰に力が入らなくなったアキラへ肩を貸し、寄り添いながら安置所を出た。