正義が悪に負ける時



「お婆ちゃん・・・・ごめん・・・。」


仏壇に手を合わせた後、
土下座をして謝った。


もうこの時の僕は、
軽い鬱病だったのかもしれない。


不倫をされた側なのに、

周りから受けた仕打ちで、いつの間にか誰に対しても“ごめんなさい”を繰り返していた。


僕にとっての数少ない幸運は祖母が味方でい続けてくれた事。


そして全国展開している会社のおかげで、

“本社から地方営業所への転勤”

という形で、今の仕事を辞めずに故郷へ帰ってこれた事。



「アキラほら、煮物お食べ。」


久し振りに見るその手はより一層小さくなっていたけど、

小さい頃から食べていた祖母の手料理は、温かった。




第1話 完