正義が悪に負ける時



爺ちゃんも、婆ちゃんも、
父さんも、母さんも亡くなった。

お兄ちゃんは消息すら知らなかった。


マコに会いに行ったあの日を除いて、

僕は30年振りにムコウジマへと帰ってきていた。


会いたいと思ったわけじゃない。


でも、もう何も僕を縛る物が無くなり、

心のどこかで、“少しでも近くにいたい”と願っていたのかもしれない。




どんな学生生活を送ったんだろう?

大学にはちゃんと行ったのかな?

良い会社に就職出来たのかな?

ひょっとして結婚してパパになっているのかな?


マコが亡くなって以来、アキラがどうしているのか知る事は無かったけど、

30歳を過ぎていた息子が、
その人生を過ごしたムコウジマで、

ただ生きているだけで喜びを感じていた。