「・・・ただいま・・・・。」
春から働く工場へ挨拶をしに行った日、
家に着くと母さんが僕を小声で呼んだ。
爺ちゃん、婆ちゃんが見ていないのを確認して、母さんは縦長の封筒を渡してきた。
「お父さんには絶対に言っちゃダメだからね。」
「・・・・・・・・・!?!?」
封筒の裏、送り主の名前を見て、
すぐに2階の自分の部屋へ走った。
「・・あああ・・・・ああ・・・。」
机の上にあったハサミを持ち、
ブルブルと震えながら封を切る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
中に入っていたのは1枚の手紙と写真。
“ゲンちゃんへ”
酷く傷つけてしまったはずなのに。
僕の事なんて嫌いになったと思っていたのに。
文字を通して久し振りに言葉を掛けてくれるマコはとても温かった。
僕の事を気遣ってくれる言葉の数々。
母さんがこっそり、この家の住所を教えてくれた経緯。
読みながら涙がポタポタと落ち、
文字が滲んでいった。



