『入学式の日にぶつかったこと、怒ってるんじゃなかったの?』



「いや、別に。
気にしてないし。
言われるまでお前だって知らなかったし。」



相変わらず、素っ気ない態度。



『え。じゃあ、なんで・・・』



そんな私だけに冷たいの?
その言葉は、なんか誤解を生むような気がしたからグッと自分の中に押さえ込んだ。



「母親がいない環境で育って、中学も男子校だったから。
どうやって接せればいいのかわかんなかった。」



言葉に出さなくても、私が言いたかったことを読み取った宮崎くんは、私が欲しかった答えをくれた。




『そう、だったんだ。
なんか、ごめん。』



私、勝手に勘違いして。
被害妄想してたんだ。



恥ずかしい。




「いや、俺こそごめん。」



謝った。
あの、イヤなヤツが!?



『・・・』



「おい?」



『あ、いや。なんでもないよ。
さて、もう暗いし帰ろうかな。』