結論的に、馬淵くんに彼女はいないらしかった。


寝言で呼んだ『マナ』は恥ずかしいけれど私の事で。


「 寝言で呼んじゃうほど好きなマナさんって… 」

「 知らねーお前の事じゃねーの? 」


覚えてねーから知らねぇけど。とそっぽを向いてしまった彼の耳はほんのり赤くて。



「 なにそれ、かわいすぎる… 」

「 うっざ 」


毒を吐いていてもぜんぜんこわくなくて、むしろ可愛い!ってなる。



ねぇねぇ、と馬淵くんのブレザーをちょんちょんと引っ張って、



「 これって告白だったりします、か 」


「 ……っ、 」


「 ねーぇー 」


「 うるさいなぁ、そーだよ好きだよお前が好きだよ文句ある? 」




真っ赤になってる彼を見て思う。


夢だったら、


もし、これが夢だったら。



「 寝ても覚めても、苦いなぁ… 」


「 は?もうなんなのうるさい… 」



ガタッと立ち上がった彼は目の前まで来ると、


腰をおって私の顔を覗き込むように、


そっと口付けた。


「 夢オチにするならわかるまでキスするけど 」




寝ても覚めても苦い



ううん、



寝ても覚めても



「 甘い、 」