希望の夢路

「どういうこと?」
彼は首を傾げて宙を見ていた。
「つまり、姉ちゃんと私は、心愛と一緒にいるってこと。
一言で言うと、運命共同体みたいな?」
「一緒にいる?運命共同体?」
「そう。お友達、だもんね?わ、た、し、た、ち」
楊香は私の目の前で仁王立ちしている。
怖い、怖すぎる。
萎縮している私に気付いたのか、魁利は楊香をたしなめた。
「こら、楊香」
「だって~」
「仲良いんだね、二人とも」
「うん、まあね!えーっと、博人だよね?」

彼は楊香に名前を呼び捨てにされて驚いた。
「えっ、何で僕の名前を?」
「知ってるに決まってるでしょ?当の本人が言ってんだし」
「あー、心愛ちゃんが言ったの?」
「う、うん、まあ…」
本当は違うんだけどね。
この二人が私と彼の美術館デートを黙って見ていたってことは、彼には言わないでおこう。
色々と混乱しそうだし。
「心愛ちゃん、言ってたもんね。すごく好きな人がいるって。なるほど、こんなイケメン彼氏がいて幸せだなあ」
魁利はうんうん、と大きく頷いた。
「博人って見る目ないよね。なんでこんなブス女選んだのよ。しかも難病持ちでさあ」
楊香の酷さは私が良く知っている。
しかし、これはさすがに酷くないか?楊香よ。

「それにしても、運命共同体ってなんだよ」
彼はなかなか納得できないようだ。
それもそのはず。
「ま、人間には理解できないかもね」
「人間には理解できないかもね、ってどういうこと?」
「だって、人間じゃないし、私達」
「…え?」
彼が固まった。