希望の夢路


「さっきまでは、もし命の期限が迫ってると知らされた場合の話。これからは、命の期限が迫っていると知らされなかった場合の話」
「医者や家族が、真実を告知しなかった場合の話ね?」
魁利が私に尋ねた。
「うん、そういうこと」
「もし告知しなかったらどうなる?」
「しなかったら?…うーん、何も知らずに生きてくってことだよね、きっと。深刻な病だということも知らないで、最期まで…」
「うわー、それやだわー」
「そうでしょ、楊香。告知をしなかったらしなかったで、後で苦しむ結果になる」
「そうならない可能性だってあるでしょ?」
「それはそうだけど」
「知らない方が良いことだってある」
「でも、知った方がいいこともある」
私と楊香の考えは見事に食い違っている。
「真実を知るべきではなかったと思うことだってあるだろうし」
「でも、真実を知るべきだと思う、私は」
「なんで心愛はそう思うの?」
「真実を知って、傷つくこともあれば呪縛から逃れられなくなる可能性だってある」
「うん、まあ確かに」
「でも、真実を知った上で過ごすのとそうでないのとでは全く違うってこと」
「んー?よくわかんない。心愛ちゃん、もうちょっと詳しく!」
魁利は身を乗り出して言った。