希望の夢路

「大人しいから…きっと…私と一緒に居ても、博人さんはつまらないのでしょうね…」
「心愛ちゃん、僕は一度もそんな風に思ったことはないよ」
「いいんです、博人さんは優しいからそんなこと…」
「いいや、本当だよ。心愛ちゃんはすごく可愛い。僕が心愛ちゃんのどこが好きか、わかるかい?」
博人は心愛をじっと見つめて言った。
「わかりません…」
心愛は首を傾げて言った。
「降参するのが早いな」
博人は笑った。
「だって…」
「分かったよ。正解はね」
「はい」
心愛は、博人の言葉を待った。

「落ち着いていて、おっとりしているところ。
僕はいつも、そんな心愛ちゃんに癒されてるんだよ。」
「そんな…癒されてるだなんて…」
「本当に、いつも癒されているんだよ。どんなに嫌なことも、落ち込んでる時も、
悩みだって、ちっぽけなことのように思えてくる。
それに、元気と勇気をいつももらっているよ。ありがとう、心愛ちゃん」
「そんなたいそうなこと、私はしてません…」
「ううん、心愛ちゃんはそう思っていないかもしれないけど、
僕は心の支えになっているんだよ。それに…」
「それに…?」

「心愛ちゃんの大好きなところ。おっとりしているところも好き。
でも、僕が一番大好きなのはね、いつもにこにこしていて、
僕の話を最後までちゃんと聞いてくれるところ。どんなに興味のない、
つまらない話でも、心愛ちゃんはにこにこして聞いてくれる。
心愛ちゃんの笑顔に、僕はいつも救われている。心愛ちゃんの笑顔は太陽だ。
と同時に、聖母マリアのような穏やかさを持ち合わせている。」
「嫌です、そんなに褒めても何も出ません…!
そんなに褒めないで下さい、恥ずかしい」
心愛は、目を背けた。