希望の夢路

「保乃果…!僕が言ってもいないことを言うんじゃないよ。
それは保乃果の個人的な意見だろ?
心愛ちゃんを悲しませたり傷つけたりしたら許さないって言ったよな?」
博人は怒りを露わにした。
「でも、ちょっとはそう思ったりするでしょ?
大好きな彼女だからって、大人しすぎて何を考えてるかわからないなんて。
そんなの、つまらないじゃないの。
博人の好きなタイプは、美人で色気があって明るくて元気でいつも笑顔の娘(こ)でしょ?
そういう娘が博人にはお似合い。彼女には悪いけど…まったく正反対じゃない、タイプが」
「それが何だよ」
博人は保乃果を見てきっぱりと言った。

「僕は心愛ちゃんを好きになった。どうしようもないほどに僕は、心愛ちゃんが好きだ。
誰にも文句は言わせない。」
「…そういう女が、好きだったんですね、博人さんは」
彼女の声は、震えていた。
「心愛ちゃん…?」
「そりゃあ、そうですよね。明るくて元気で、色気があって美人で…。
そういう女が、男の人は好きですものね」
彼女は必死で涙を堪えていた。
「そんなことないよ。僕は」
「いいんです、わかってるんです。博人さんと私じゃ、釣り合わないってことくらい。
それに私、なかなか想いを、伝えられない…。
伝えようと思えば思うほど、言えなくなって…。
言えたとしても、迷惑じゃないかとかいろいろ考えてしまうんです。
博人さんの迷惑にならないように、って…」
「心愛ちゃん…」
博人は、優しく彼女の左手を握った。
彼女は博人を見上げた。