「すみません、望月心愛の知り合いーいや、彼氏の町田です」
初めて彼女のフルネームを口にした気がする。心愛、って呼び捨てにするのも悪くないな。良い響きだ。
「町田さんですね。どうぞ」
救急隊員に案内されて、僕は救急車の中へ入った。
そこには、横になり静かに眠っている彼女がいた。僕は彼女に近寄り、彼女の手を握った。
握った掌は綺麗で、右手なんだなとわかる。
「ずっと、眠ったままなんですか」
「ええ、異常はないんです」
「異常がない?」
「ええ。ですが目が覚めないんですよね」
顔面蒼白の彼女を見て、僕は手が震えた。怖かった。彼女を失うかと思うと、とてつもなく怖くて彼女をじっと見つめた。
「あ、左手…」
僕は彼女の左手に触れた。
彼女の左手は包帯が巻かれていて、
少し血が滲んでいた。
「あ、血が滲んでいますね。包帯取り替えましょう」
救急隊員の多川は、彼女の左手の包帯を外し消毒をし始めた。
その時、僕の目に飛び込んできたのは
彼女の左手の傷から出血しているところだった。傷はそこまで深くないそうだけれど、左手の小さな傷からは鮮血が流れ落ちた。
「うーん、血が止まりにくいみたいだな」
血が、止まりにくい?
もしかして、他に何か大きな病気でもしているのだろうか…。
「町田さん、少し強めに押さえていてください」
「あっ、はい」
多川の指示通り、僕はガーゼを強めに押した。
「そうですね…30分くらい押さえていてください」
「えっ!?そんなにですか?」
「ええ、すぐ止まらないようなので。そのままで様子を見ようかと」
「あ、はい…わかりました」
心配だ。彼女の体が、とても心配だ。
どうしよう、このまま目が覚めなかったら。そんなこと考えたくもないけど、頭の中はその考えで埋まっていた。
「あと右足首と左足首、右腕も怪我をしていますので、止血が終わり次第怪我の様子を見てください」
「えっ、あっ、はい…」
「彼氏さん、なんですよね」
「ええ」
「なぜ外へ出したんですか」
「えっ?」
「望月さんは、目が見えないんですよね」
ああ、そのことか。
彼女をそういう行動に駆り立てたのは
僕なのかもしれない。
喧嘩なんかしなければ、彼女は外には出なかったかもしれない。
僕に黙って外に出るだなんてことはー
「あの白い杖。もちろん助けにはなると思います。でも、望月さんにはあなたが必要です。あの杖だけでは危険は回避できません。ましてや、望月さんは虚弱体質なんですよ」
「はい…それは、はい…」
「あなたがしっかり守ってあげなくて、誰が望月さんを守るんです?」
「そうですよね…」
僕の覚悟は、
甘かったのかもしれない。
彼女を幸せにするためには、
もっとしっかりと覚悟を持って
彼女を支えなければならない。
初めて彼女のフルネームを口にした気がする。心愛、って呼び捨てにするのも悪くないな。良い響きだ。
「町田さんですね。どうぞ」
救急隊員に案内されて、僕は救急車の中へ入った。
そこには、横になり静かに眠っている彼女がいた。僕は彼女に近寄り、彼女の手を握った。
握った掌は綺麗で、右手なんだなとわかる。
「ずっと、眠ったままなんですか」
「ええ、異常はないんです」
「異常がない?」
「ええ。ですが目が覚めないんですよね」
顔面蒼白の彼女を見て、僕は手が震えた。怖かった。彼女を失うかと思うと、とてつもなく怖くて彼女をじっと見つめた。
「あ、左手…」
僕は彼女の左手に触れた。
彼女の左手は包帯が巻かれていて、
少し血が滲んでいた。
「あ、血が滲んでいますね。包帯取り替えましょう」
救急隊員の多川は、彼女の左手の包帯を外し消毒をし始めた。
その時、僕の目に飛び込んできたのは
彼女の左手の傷から出血しているところだった。傷はそこまで深くないそうだけれど、左手の小さな傷からは鮮血が流れ落ちた。
「うーん、血が止まりにくいみたいだな」
血が、止まりにくい?
もしかして、他に何か大きな病気でもしているのだろうか…。
「町田さん、少し強めに押さえていてください」
「あっ、はい」
多川の指示通り、僕はガーゼを強めに押した。
「そうですね…30分くらい押さえていてください」
「えっ!?そんなにですか?」
「ええ、すぐ止まらないようなので。そのままで様子を見ようかと」
「あ、はい…わかりました」
心配だ。彼女の体が、とても心配だ。
どうしよう、このまま目が覚めなかったら。そんなこと考えたくもないけど、頭の中はその考えで埋まっていた。
「あと右足首と左足首、右腕も怪我をしていますので、止血が終わり次第怪我の様子を見てください」
「えっ、あっ、はい…」
「彼氏さん、なんですよね」
「ええ」
「なぜ外へ出したんですか」
「えっ?」
「望月さんは、目が見えないんですよね」
ああ、そのことか。
彼女をそういう行動に駆り立てたのは
僕なのかもしれない。
喧嘩なんかしなければ、彼女は外には出なかったかもしれない。
僕に黙って外に出るだなんてことはー
「あの白い杖。もちろん助けにはなると思います。でも、望月さんにはあなたが必要です。あの杖だけでは危険は回避できません。ましてや、望月さんは虚弱体質なんですよ」
「はい…それは、はい…」
「あなたがしっかり守ってあげなくて、誰が望月さんを守るんです?」
「そうですよね…」
僕の覚悟は、
甘かったのかもしれない。
彼女を幸せにするためには、
もっとしっかりと覚悟を持って
彼女を支えなければならない。

