三人は、私の行く手を阻むように私の目の前にある点字を踏んでいるのは明らかだった。
私が自分の杖がどこにあるのか手で探している間に、鋭い痛みが走った。
「あーら?ごめんなさーい?ごみかと思って間違えて踏んじゃったわ」
洋子が、私の…私の手をハイヒールで思いっきり踏みつけている。
ハイヒールで踏みつけているというのは、感触でだいたいわかった。
「い、たい……」
「痛いでしょう?私もいたかったのよお!!」
洋子が杖を探していた私の左手を、さらにぐっと踏みつけた。
「やめて……いたい……」
「これでわかった?障害者め」
愛花の声が私に響く。
「まずさ、目が見えないくせに、何その格好。ワンピースにヒール?あはははは!…笑わせんじゃないわよ!
目の見えないやつは目の見えないやつらしく、ボロい格好でもしてなって」
美咲も、容赦ない言葉を私に投げかける。
「大人しく引きこもってろよ、家に」
「愛花の言う通り。目見えないくせにオシャレなんかしやがって」
美咲が、私の右足首を踏みつけた。
美咲もハイヒールだった。
「痛いよ……やめてください…」
「誰がやめるか。二度と外に出てくんな!」
愛花も…ヒールで私の左足首を踏みつけた。少しして左足首は開放されたが、今度は私の右腕をヒールで突き刺す。

「いたいよ…いたい……」
目が見えないから、動こうにも
どう動けばいいのかわからないし、
何より痛くて動けない。
「ふん、ざまあ」
洋子が嘲笑した。

私は、だんだんと意識が遠のいていった。周りが、ざわついているのように思えるのは気のせいかな。

「助けて……ひろくん……」

その言葉を最後に、私の意識は
ぷっつりと途絶えた。