「大丈夫だからね…」
そう言って、僕は彼女の髪を撫でる。
「ひろくん」
「なに?」
「もしかして、私の胸…見てる?」
「ん?見てるよ、そりゃあ」
「やだ、そんなにみないで」
彼女は照れている。
そんな彼女の反応を見ながら、
下半身も脱がしていく。
「はあ…可愛い」
「や、やだ、そんなことない」
可愛すぎるだろ。
……やばい、我慢の限界に来そう。
僕は本当、我慢強くないな。
いつの間にこんなに忍耐力が鈍った?
僕は何度限界を迎えれば気が済むんだ?

彼女は僕と同じ、裸になった。
「ひろくん、あのねっ!」
僕に手を引かれてゆっくりと歩く彼女が言った。
「なに?」
「変なことしないでね」
「しないよ」
僕はそう言って、風呂場のドアを開けた。


「はあ…気持ちいい」
彼女は湯船に浸かって思わず言葉を漏らした。
「気持ちいい?」
「うん!」
そうか。気持ちいいか。
それなら早く、僕も入らなきゃな。
「よし、」
僕は彼女のいる湯船に入った。湯船に足を入れた途端、ぽちゃんと音がして彼女は驚いて身を竦めた。
彼女は膝をくっつけて足を伸ばしていたから、僕は彼女が膝をくっつけている両足と湯船との間の少しのスペースに足を入れた。
「あっ、ごめん、私…どうすればいい?」
どうすればいい?というのは、恐らくどういう格好をすればいいか、避けた方がいいかどうか、ということを聞いているのだと思う。
「そのままでいいよ」
「本当?」
「うん」
僕は彼女と向かい合って座った。
彼女は、胸にまいたタオルをぎゅっと握りしめている。
彼女と入れたのは嬉しいが、彼女は怖いと思っているのかもしれない。
まだ早かったかな?
胸にまいたタオルをぎゅっと握っているその手は、震えていた。
「怖い?」
「怖くない」
言葉に反して、彼女の手は震えていた。
「無理しなくていい。大丈夫。大丈夫だよ」
僕は彼女に近づき、彼女の胸元にある両手を、僕の両手と重ね合わせた。
「ひろくん…ありがとう…」
彼女の微笑みに、くらくらとした僕は彼女の唇を塞いだ。
「んっ、」
唇を離すと、彼女は真っ赤になって
意地悪、と言いながら僕の胸に飛び込んだ。