「おいしい?」
「うん、すごくおいしい!」
私はにこっと笑った。
「よかった」
彼は私に微笑んだ。
「ま、愛情たっぷり込めて作ったから当然、美味しいに決まってるけどな」
彼が自信満々に言うから、可笑しくて笑ってしまった。
「何で笑うんだよ」
「だって、そんなに誇らしげに言うんだもん」
「悪いかよ」
「ううん、」
幸せだなあと思う。
心が、じんわりと温かくなる。
「ありがとう、ひろくん」
「…ん、」彼は照れていた。
「ねえ、仕事は大丈夫なの?間に合う?」
いつも彼は早く家を出るから、こんなにゆっくりしていていいのかと心配になる。
「大丈夫だよ」
「えっ、もうこんな時間だよ!十時!」
ちらりと見た時計の針は午前十時を指していた。
「遅刻になっちゃうよ、早くいかないと…」
「そんなに、家に居ない方がいい?」
「そんなわけない。ひろくんと一緒にいたい。でも」
「冗談だよ。…ありがとう。でも今日は休みだから」
「えっ、そうなの?」
「うん。おかげでゆっくり寝られた。
まあ、どこかの可愛いねぼすけさんは、ぐっすり寝てたけど?」
「えっ、それって私のこと?」
私は彼を見て頬を膨らませた。
「他に誰がいる?」彼は笑っていた。
「ひどい!ねぼすけさん、ってなに?ひどいひどい~!」
私は隣に座る彼の腕を引っ張った。
「はは。ごめんごめん。…可愛かったよ、寝顔」
「…!」
「はは。顔赤い」
「あ、赤くなんてないもん…」
私は、思わず顔を両手で覆った。
「こらこら。顔を隠さない」
「だって~」
私は渋々両手を顔から離した。
「ほら。覚めちゃうよ、ご飯」
「あっ、そうだ。食べなきゃ」
私は、彼の愛情たっぷりの朝ご飯をゆっくりと噛みしめながら味わった。
「にやけてるよ、顔」
「もう…!そういうひろくんだってにやけてるじゃない。私よりも絶対にやけてる!」
「そうかもね」
彼は笑いながら私を見た。
今日はずっと一緒にいられる。すごく嬉しい。
彼と一緒に住み始めてからは一緒にいる時間が格段に増えたけど、
彼が仕事が休みの日はずっと彼にくっついていられるし、彼を独り占めできる。