「保乃果、相談があるんだけど」
博人が保乃果に連絡をしたのは、三週間前。
「相談?どうしたの?」
「会えないかな」
「いいわよ」
「じゃあ、今夜」
「…随分、急ね」保乃果は驚いたが、内心嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「うん。緊急事態なんだ」
「緊急事態?どうしたのよ」
「今夜、話す」博人の声には、元気がなかった。保乃果は心配になった。
「何でも言って。相談に乗ることぐらいしかできないけど。」
「それだけで十分だよ。ありがとう、保乃果」
「うん、じゃ、またあとで」
保乃果は、電話を切った。
一体、どうしたというのだろう。心愛ちゃんとうまくいっていないのだろうか。
いずれにせよ、それは今夜はっきりする。今夜―。
「で?緊急事態ってなんなの?」保乃果が話を切り出した。
「うん…彼女と、ここ最近ずっと会えてない。それに、全く連絡が取れないんだ。
何度電話しても出ないし、メールの返信も全くない」
「電話に出られなかったとか、電源切ってたってことは考えられない?」
「僕も最初は、そう思ってたんだ。でも、明らかにおかしい。三週間も音沙汰なしなんて」
博人は切ない目で澄んだ空を見上げた。
空はこんなに綺麗で澄み渡っているのに、僕の心はどんより曇り空だ。
博人は溜息をついた。
保乃果は博人の隣をゆっくりと歩いた。
「じゃあさ、今から電話しちゃう?」
保乃果は自分の携帯を出した。
「そんなことしても、出ないかもしれないぞ」
「分からないわよ?案外出るかも」
保乃果は、心愛に電話をかけた。
「そうかな…」博人は、弱気になっていた。
「はい、もしもし」
心愛の柔らかい声が、保乃果の耳に届いた。
「あっ…!」保乃果は、声を上げた。
博人は保乃果を見た。
「心愛ちゃん?どうしたのよ」
「えっ…ほのちゃん…どうしたの」
「それはこっちの台詞。どうしたのよ。彼氏が悶々としてるわよ。
全く連絡がつかないってすごく落ち込んでた」
「あっ…それは、ごめんなさい…」
心愛は申し訳なさそうに言った。
「もう、だめよ、心愛ちゃん。博人を困らせちゃ」
「う…まず…」
「え?心愛ちゃん?」
「う…痛…っ、いたたた…」
「えっ…!?心愛ちゃん、大丈夫!?」保乃果は思わず身を乗り出した。
博人の顔が、更に曇った。
「…い、た…」
「心愛ちゃん、しっかり…!今すぐ、そっち行くから。だから待ってて」
保乃果は電話を切り、すぐに心愛の家へ向かおうとした。
しかし、心愛は力を振り絞るようにして言った。
「…こ、ない、で…」
「なに言ってるのよ。そんなこと言ってる場合じゃないでしょ」
「お願い…こ、ないで…」
「なにバカなこと言ってるのよ。博人はずっと心配してたのよ!なのにどうして…」
「迷惑、かけちゃうから…」
「迷惑なんかじゃないわよ」
「ううん…迷惑なの、私」
「そんな弱気になったらだめよ。しっかりして!」保乃果は心愛を宥めた。
「いい、の…これ以上…迷惑、かけられない」
「迷惑なんかじゃないったら」
「おねがい、だから…ひろとさんには…何も、言わないで」
「強がったってだめよ。心愛ちゃんは素直なところが良いんだから」
「あ、りがとう…ほのちゃん」
博人が保乃果に連絡をしたのは、三週間前。
「相談?どうしたの?」
「会えないかな」
「いいわよ」
「じゃあ、今夜」
「…随分、急ね」保乃果は驚いたが、内心嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「うん。緊急事態なんだ」
「緊急事態?どうしたのよ」
「今夜、話す」博人の声には、元気がなかった。保乃果は心配になった。
「何でも言って。相談に乗ることぐらいしかできないけど。」
「それだけで十分だよ。ありがとう、保乃果」
「うん、じゃ、またあとで」
保乃果は、電話を切った。
一体、どうしたというのだろう。心愛ちゃんとうまくいっていないのだろうか。
いずれにせよ、それは今夜はっきりする。今夜―。
「で?緊急事態ってなんなの?」保乃果が話を切り出した。
「うん…彼女と、ここ最近ずっと会えてない。それに、全く連絡が取れないんだ。
何度電話しても出ないし、メールの返信も全くない」
「電話に出られなかったとか、電源切ってたってことは考えられない?」
「僕も最初は、そう思ってたんだ。でも、明らかにおかしい。三週間も音沙汰なしなんて」
博人は切ない目で澄んだ空を見上げた。
空はこんなに綺麗で澄み渡っているのに、僕の心はどんより曇り空だ。
博人は溜息をついた。
保乃果は博人の隣をゆっくりと歩いた。
「じゃあさ、今から電話しちゃう?」
保乃果は自分の携帯を出した。
「そんなことしても、出ないかもしれないぞ」
「分からないわよ?案外出るかも」
保乃果は、心愛に電話をかけた。
「そうかな…」博人は、弱気になっていた。
「はい、もしもし」
心愛の柔らかい声が、保乃果の耳に届いた。
「あっ…!」保乃果は、声を上げた。
博人は保乃果を見た。
「心愛ちゃん?どうしたのよ」
「えっ…ほのちゃん…どうしたの」
「それはこっちの台詞。どうしたのよ。彼氏が悶々としてるわよ。
全く連絡がつかないってすごく落ち込んでた」
「あっ…それは、ごめんなさい…」
心愛は申し訳なさそうに言った。
「もう、だめよ、心愛ちゃん。博人を困らせちゃ」
「う…まず…」
「え?心愛ちゃん?」
「う…痛…っ、いたたた…」
「えっ…!?心愛ちゃん、大丈夫!?」保乃果は思わず身を乗り出した。
博人の顔が、更に曇った。
「…い、た…」
「心愛ちゃん、しっかり…!今すぐ、そっち行くから。だから待ってて」
保乃果は電話を切り、すぐに心愛の家へ向かおうとした。
しかし、心愛は力を振り絞るようにして言った。
「…こ、ない、で…」
「なに言ってるのよ。そんなこと言ってる場合じゃないでしょ」
「お願い…こ、ないで…」
「なにバカなこと言ってるのよ。博人はずっと心配してたのよ!なのにどうして…」
「迷惑、かけちゃうから…」
「迷惑なんかじゃないわよ」
「ううん…迷惑なの、私」
「そんな弱気になったらだめよ。しっかりして!」保乃果は心愛を宥めた。
「いい、の…これ以上…迷惑、かけられない」
「迷惑なんかじゃないったら」
「おねがい、だから…ひろとさんには…何も、言わないで」
「強がったってだめよ。心愛ちゃんは素直なところが良いんだから」
「あ、りがとう…ほのちゃん」

