何か探そう。

そう思い、上に向かってみると、

人影が見えた。

「誰か、いるの?」

反応はない。

とにかく人影に向かってみる。

男の子がいた。見た目は、高校生くらい。

この時の私は高校一年生だったから、

同級生の男子と同じくらいに見えた。

「誰?」

「私は、高校一年生。あなたは?」

「僕も、高校一年生。」

「名前を教えてよ。」

「わからないんだ。」

「あ...。」

ふと我に返り、気がついた。

私も、自分の名字がわからない。

「今、僕は探し物をしているんだ。

君は、何を探しているの?」

「何も探してないよ。」

「そんなわけがないよ。
ここは、何かを探す場所なんだから。」

「何かを探す場所?」

「そう。ここに来る人は、
何かがなくなっているんだ。

見つければ、ミッションクリア。」

「そしたら、どうなるの?」

「気持ちよく起きれる。」

「何それ?」

呆れた。

名前を探しているっていうから、

物語の主人公みたいに冒険して、

大切なものを得るのかと思った。

「くだらない。

でも、協力する。」

「じゃあ君は、探し物を探すんだね。」

「ここじゃ、する事もないしね。」

私と彼の探し物が、始まった。