那野「もう授業始まってるんだけど?
俺に授業サボらせて何の用?」
しんと静まり返った校内。
誰もいない空き教室。
私の心臓の音だけがやけに
うるさかった。
妃乃「ごめんなさい。ナノ。」
那野「いいよ、別に。
受けても受けなくてもいい授業だし。」
妃乃「そうじゃなくて...
ナノに謝りたかったの。
ナノの事を悪く言っちゃったから。
キノの事を庇っちゃったから
ナノの事を怒らせた。
謝ろうって思って教室に行ったけど
全然言葉考えてなくて...勢いで
あんな事言っちゃってナノに
恥ずかしい思いさせてごめん。
バカだとは思ってたけど自分が
ここまでバカだとは思わなかったよ。」
那野「何で?...さっきのヒノの言葉
俺、結構嬉しかったんだけど。」
後ろから私をギュッと抱き締めて
耳元でそう囁くから、私の心臓は
さっきの何倍もうるさくなった。



