仁野「さあな。夕飯も食わずに
部屋から出てこねぇし
ナノの考えてる事は俺には
さっぱり分からん。」

妃乃「そっか。」

私たちが電車に乗る最寄駅が
見えた頃、仁野は突然歩くのをやめた。

仁野「何かあったのか?」

妃乃「何が?」

仁野「お前ずっとそんな顔してんじゃん。
元々、微妙な顔が余計に微妙になるぞ。」

妃乃「はぁ?あんたはそう思ってても
ナノは私の事を......」

反論しようと思ったけど
何だか急に虚しくなって
それ以上は言葉が続かなかった。

仁野「ナノと喧嘩したのか?」

妃乃「そんなんじゃない。」

仁野「じゃあ何なんだよ?
お前のせいでな...っつーか
ナノの機嫌が悪いと新堂家の
空気がドンヨリするんだよ。
ナノを怒らせたのなら今すぐ謝れ。」