那野の怒った所を見たのは初めてだった。
いつも私たちには優しくて
お兄ちゃんだった那野がこんな風に
感情を露わにした所は初めて見た。
妃乃「どうでも良くないよ。
キノが今、どんな想いで...」
私はハッとする。
喜野に秘密にするって約束したのに
那野に話してしまいそうになった事を。
妃乃「...とにかく...私は気になるの。
キノの事が。」
那野「俺よりもか?」
妃乃「ねぇ、ナノ。
さっきから本当にどうしちゃったの?
ナノらしくないよ。何か変だよ。」
那野「変か...。」
那野は力なく笑っていた。
那野「キノが助けを求めたら
ヒノは絶対に助けに行くのに
俺が助けを求めてもヒノは
助けてはくれないんだな。
よく分かったよ。」
その様子に戸惑って私はそこから
1歩も動けずにいた。



