「あ、じゃあ俺そろそろ部活に!

あの、安藤くん、またね!」

いそいそと教室を出ていく瀬野くん。

どうやら瀬野くんにとって安藤くんは、まだ恐怖の対象なのかもしれない。

そう簡単に変わるわけないか。

瀬野くんがいなくなると、ガヤガヤとしていた教室が、いつの間にか静になっていたことに気づく。

「安藤くん、まだ怖がられてるんだね。」

本のページをめくりながら、安藤くんに話しかける。

「まぁ、仕方ねーよ。

俺、不良らしいし。」

「なにそれ、自虐?」

「これでも結構傷ついてるんだけど?」

「それを言ったら私の方が傷つきましたよ。

失恋した日に、知らない人に大声で笑われて。」

「その節は申し訳ありませんでした…

いや、待て、大声では笑ってない。」

「そこ?」

こんなに話しやすいのに、不良だからと言って避けられるのはなんだかな…

そう思ったけど、実際私もその噂を鵜呑みにしてたんだよな~