「うーん……」

クラスマッチが終わり、夏休みまであと2週間。

私は今、とても迷っていることがある。

「どしたの、山ちゃん?」

「あ、瀬野くん。」

放課後にも関わらず、本とにらめっこしている私を山ちゃんと呼ぶのは、クラスマッチ以来何かと話しかけてくれる瀬野くん。

山森だから山ちゃんらしいけど、ネーミングセンスはいまいちだ。

「あのね、実はバイトをしようかと考えてて…」

そう、華の高校2年生の夏休み、私は今金欠なのだ。

このままだと遊ぶこともできず夏休みを終えることになる。

だからバイトをしようと考えているのだが、なかなかピンとくるのがない。

「バイトか~…確か校則では全然オッケーなんだっけ?」

「そうそう、緩いよね。」

「なんの話?」

二人でバイト募集を眺めていると、安藤くんがやってきた。

今にも帰ろうとしている安藤くんがこのクラスに来た理由は、盛岡くんと帰るためだ。

「うん、バイトしようかなって。」

「ふーん。」

「興味なしか。

あ、盛岡くんは今委員会だよ。」

「知ってる、だからここで待とうと思って。

あれ、今日須藤さんは?」

「優実も委員会。

終わるまで待ってるんだ。」

優実は本来委員などやる方ではないが、交友関係が広いため、学級委員に推薦されたのだ。

本人はぶーぶー文句を言っていたが、責任感が強いので優実にはぴったりだ。

ちなみに盛岡くんは図書委員。