「あっつー…」

真野くんに失恋してから1週間、私の周りは多少変化した。

まず、安藤くんと盛岡くんとよく話すようになったこと。

そして、真野くんは私に話しかけることをぱったりとやめた。

本命を手に入れたから私は用済みということなんだろうか…

「それにしても暑いね~。」

今は7月上旬。

梅雨が少し前に明けてから、暑さが本格化している。

登下校中は地獄のようなのだ。

「スクールバスとかでないかな。」

「一応公立だからお金ないし無理なんじゃない?」

「えー、無理、もう歩けない…薫、おぶって。」

「やだよ、自分で歩きなよ!ほら、押してあげるから。」

「無理~!」

ぶーぶー文句を垂れる優実の背中を押しながら、なんとか教室に到着。

外とは打って変わり、教室は暑さなんて無縁だった。

ホッとしたのもつかの間、温度差により汗が大量に流れ始めた。

リュックを背負っているせいで背中は大洪水。

私と優実は急いでトイレに駆け込んだ。

「夏は着替え必須だよね。」

「本当、シートなくちゃやっていけない…」

「私はスプレー派~」

「どっちでもいいわ。」

トイレで着替えを済ませ、用を足したあと、私はようやく席につくことができた。