突然立ち上がって、スマホを握り締めたまま大きく振りかぶり、今にも遠くに投げ飛ばしそうな行動を取ったからだろうか隣にいた杏子に、真未っ!?どうしたの、落ち着いて!!と言われ、その声を聞いた真未の前方にいた人達は危険を察してさっと身を隠していた。

「……ごめん、今ちょっと我を忘れたわ」

「秋村君絡みでしょ?何て送られてきたの?」

「……なんで朝陽からってわかるの?」

言ってもいないのに。と少しの落ち着きを取り戻してその場に座って杏子を見ると、そんなの簡単よ。と笑った。

「真未、今顔が少しだけ赤くなってるもん。
あらかた“可愛い”とか“好き”とかそんな甘ーい言葉でも送られてきたんでしょ?」

と外れのない予想を楽しげに話してくる杏子に一瞬、うっ!と言葉に詰まると、真未は溜め息をつきながら机に突っ伏した。

「私、そう言う言葉に一生慣れる気がしないわ」

「いいんじゃない?その方が初々しくて見てる方もおもしろ……癒されるから」

「今おもしろいって言ったの、しっかり聞こえたわよ?」

冗談よ、冗談。と笑って誤魔化す杏子を軽く睨み付けてから真未は握ったままのスマホにそっと目を落とした。