「真未、どうしたの?すっごく不機嫌そうな顔してるけど、秋村君と喧嘩でもした?」

「してないわよ。
不機嫌なのは否定しないけど」

大学の講義が始まる前、朝陽とは違う講義なので真未の隣に座った杏子が不思議そうに問いかけてきたのを素っ気なく言い返した。

「そうよね、秋村君あれだけ真未を溺愛してて喧嘩になるはずないわよね。
で、ならどうして不機嫌なのよ」

「ちょっと朝から感じ悪いことがあったのよ」

言いながら真未は頬杖をついて前を見つめた。
違和感のある笑顔に詮索するような質問、あの人が聞きたいのは真未のことなのか朝陽のことなのか……。
それに、朝陽が言っていた“面倒な奴かもしれないから気を付けといて”と言う言葉も今となっては引っ掛かる。

「……直接聞いた方が早いか」

そう呟くと真未はスマホを取り出して指を滑らすと送信する。
今日の朝は講義が無いと言っていたから気づけばすぐに返事が来るだろうと思っていたら、案の定すぐに返事が来た。